若旅一夫弁護士(三船美佳氏の代理人)に関する懲戒請求

「ハンコを押せば、すぐ娘に会わせる」

 

昨年9月に、高橋ジョージ氏の元妻・三船美佳氏の代理人を務める若旅一夫弁護士(右写真)について、東京弁護士会へ懲戒請求をしていました。懲戒請求をしたのは、高橋ジョージ氏が離婚の際、若旅一夫氏から「『(離婚の)ハンコを押せば、すぐ娘に会わせる』と言われた」という週刊女性の記事を読んだからです。

 

子と親が会うことは、互いの神聖な権利であって、それは父母が離婚をする場合も変わりません。ですから、「離婚のハンコを押すことと引き換えに親子を会わせる」というのは不当です。子が親と会うだけのことに、何か条件が付けられるべきではありません。仮に何か特別な個別事情によって、条件が付けられる場合があるとしても、少なくともその条件は「離婚のハンコを押したら」というものではありません。父母の関係と、親子の関係は別のものだからです。

 

若旅一夫氏の「ハンコを押せば、すぐ娘に会わせる」発言が事実であれば、若旅一夫氏は高橋ジョージ氏に対して、「離婚しないと娘に会わせないぞ」と脅して離婚を強要する、不法行為を行ったことになります。しかも若旅一夫氏は、その不法行為によって実際に離婚を成立させ、離婚成立に伴う成功報酬を受け取るという形で、不当な手段で収入を得ていると考えられます。

 

東京弁護士会は、判断を下した人物の氏名を隠蔽

 

懲戒請求後、若旅一夫弁護士からのごく簡単な反論や当方からの再反論がありましたが、東京弁護士会の決定は「懲戒請求事由は認められない」というものでした。その理由は、「離婚事件の当事者である高橋氏の発言内容のみをもって、当該発言内容にかかる事実を認定することはできない」からであるとのことです。つまり、報道された若旅一夫氏の発言が事実であるかどうか、高橋ジョージ氏の発言に基づく報道だけからはわからないから、懲戒に相当するかどうかの判断をしない、というものです。

 

たしかに、週刊女性の記事は高橋ジョージ氏の発言に基づくものですが、その発言に基づく報道がなされており、世間ではそれが事実であると認識されています。仮に報道が誤報であれば、若旅一夫氏や三船美佳氏は、週刊女性の報道に対して訂正等を求めるべきだと思いますが、若旅一夫氏が訂正を求めた形跡はありません。

 

加えて、若旅一夫氏は別の日刊スポーツの記事で、離婚の成立と引き換えに、高橋ジョージ氏に対して「面会の代わりに、カラー写真を年2回見せる」旨を自分自身で記者に説明しています。家事の法律実務では、カラー写真を見せる(たったそれだけの)ことは、面会と同じく、「面会交流」の一種とされています。つまり、若旅一夫氏は、離婚が成立するまでは、カラー写真を見せるという「面会交流」すら行わず、離婚の成立と引き換えにようやくカラー写真を見せるという「面会交流」を認めたことを自分で語っているのです。これは、離婚の成立と面会交流が交換条件となっている点において、冒頭の週刊女性の記事での高橋ジョージ氏の発言と符合するものです。

 

これらの事実があるにもかかわらず、東京弁護士会は本人への聴聞等も実施せず、懲戒しないとの判断をしたのです。しかも後述する通り、東京弁護士会は判断を下した責任者の名前すら隠蔽し明らかにしていません。東京弁護士会のこのようなやり方には納得がいきません。

 

「離婚と引き換えにカラー写真を年2回見せる」

 

そもそも、なぜ親が自分の子供と会ったり、写真を見たりすることと引き換えに、離婚条件を受け入れるように弁護士から強要されなければならないのでしょうか。仮に親子が会えない特別な事情があるとしても、それは父母の離婚とは関係がない問題ですから、離婚成立の有無と関係なく解決されるべきです。

 

若旅一夫氏のような、離婚と面会交流を交換条件にする離婚弁護士の典型的な言い分は「離婚が成立せず、父母の争いが続いているのに面会交流を行うのは子の福祉に反する」というものです。しかし子の福祉を考えるのであれば、若旅一夫氏は、離婚の父母の争いと切り離して、親子の面会交流を直ちに行うように、あるいは面会交流の方法について話し合うように、三船美佳氏を説得するべきなのです。そうしなければ、子供が片方の親と会えなくなるだけでなく、父母の争いの道具として使われて傷つくことになるからです。離婚弁護士の言い分は、子供をあえて親の争いに巻き込んで、子供を道具に離婚交渉を有利に進めるための方便にすぎません。

 

そして、少なくとも「カラー写真を見せる」面会交流ならなおさら、離婚成立の有無や、「娘の意向」(連れ去った親が"娘の意向"を操作するのも、娘の11歳という年齢を考えれば容易であると考えられます)とは関係なくできたはずです。それをせずに、「離婚が成立すれば面会交流をする」との交換条件で脅して、意図的に子供を父母の争いに巻き込んでいるのは、若旅一夫氏なのではないでしょうか。日刊スポーツの記事では、離婚と同時にようやく高橋氏が求めていた面会交流を認めたこと、そしてそれまでは娘の”カラー写真”すら見せていなかった経緯を、若旅一夫氏自身が認めています。なぜ若旅一夫氏がそうしたかと言えば、それによって早期に高橋氏に離婚に応じさせ、短期間で手間をかけずに離婚の成功報酬を受け取ることができるからであると考えられます。もしそうであれば、若旅一夫氏は、子を思う親の気持ちを逆手に取り、また子供を親の争いに巻き込み傷つけて収入を得て、恥ずかしいとは思わないのでしょうか。

 

”東京弁護士会綱紀委員会第二部会部会長職務代行副部長(記載省略)”

 

冒頭で述べた通り、東京弁護士会の判断の結果は「懲戒請求事由は認められない」というものでした。ただ、結果以上に驚かされたのは、上述のように、東京弁護士会の判断が記された議決書において、責任者の名前が隠されていたことです。文末には、「〜よって、主文のとおり議決する。令和元年12月20日 東京弁護士会綱紀委員会第二部会 部会長職務代行副部長(記載省略)」と書かれていて、本来書かれているはずの氏名の記載が“隠蔽”されています。

 

懲戒制度において、懲戒の判断はまず弁護士会の綱紀委員会で下されることになっています。その綱紀委員会の責任者が名前を隠した議決書が有効であるかどうかは措くとしても、常識的には責任者が名前を隠すのは考えられないことです。本件を担当した東京弁護士会の責任者が、自信を持ってこの判断を下したのであれば、氏名を隠したりはしないでしょう。それをあえて記載せずに隠しているということは、その責任者が「若旅一夫氏を懲戒しない」と下した判断に、自信と責任を持つことができていないことを示しています。

 

なぜ弁護士会は悪徳離婚弁護士を懲戒しないか

 

これまでに、弁護士が関わる離婚の際の子供の連れ去りや、弁護士による面会交流を引き換えとした強要について、数多くの懲戒請求がなされているようですが、請求が認められ、弁護士会によって懲戒が行われた例は、これまでにないようです。それは、連れ去りや強要行為が、弁護士がなるべく手間をかけずに成功報酬を得るための手段として、離婚弁護士の間で蔓延しているからです。

 

離婚弁護士の立場から考えると、手間をかけずに収入を得ることだけを考えるなら、離婚の相談を受けたら、夫婦間の葛藤を高めて戦わせ、短期間で一気に離婚成立に導くことが最も効率的です。万一、離婚を考えていたのに仲直りなどされてしまうと、離婚弁護士からすれば、相談料などのわずかな収入しか得られず、夫婦の愚痴を聞くだけのために長い時間を取られたという結果になりかねません。

 

また原則として、簡単には離婚が認められない現在の離婚制度において、短期間で効率よく離婚を成立させるには、相手を離婚に合意させる必要があります。そのためには、子供を連れ去って夫婦間の葛藤を高めたうえ、子供を連れ去られた親に「早く離婚をしなければ子供とも会えないよ」と脅すことが効果的です。ですから、連れ去りと、面会交流と引き換えに離婚を強要することが、悪徳離婚弁護士にとって定石ともいえる手法になっているのです。

 

弁護士会の”組織引き締め”に使われる

 

そのような不法行為が悪徳離婚弁護士の間で蔓延しているからといって、それを弁護士会が見逃すかどうかという問題はあるでしょう。しかし、あまり知られていませんが、弁護士会は法律上、監督官庁すらない、極めて特殊な自治組織です。会員弁護士の懐に影響を与えるような判断は基本的にしません。そして、弁護士会が会員弁護士の不法行為を見逃しても、それを誰かが監督して正す仕組みはありません。つまり弁護士会は、懲戒に関してはほぼ「やりたい放題」なのです。本来、弁護士の行為を外部の視点で律する意味で設けられた懲戒制度なのですが、最終的に懲戒をするかどうかの判断をするのが弁護士自身であるために、十分に機能していないのです。

 

そのため、懲戒申請数に対する懲戒数はわずか数パーセントで、大半の懲戒請求はガス抜きされたうえ却下されて葬り去られます。逆に言えば、数パーセントとはいえ、弁護士会は懲戒処分を下しているわけですが、実際に過去に懲戒処分が下された例を見ると、たとえば、テレビにも時々出演する萩谷麻衣子弁護士の代理人を務める坂本昌史弁護士(弁護士法人アーバンフォレスト)が、かつて横領や手形偽造などの行為で東京弁護士会から業務停止処分を受けたように、金銭絡みの、言い訳ができない行為に対しては懲戒処分が下される傾向があります。これは、大半の弁護士はそもそもそのような証拠が残る犯罪行為にまでは手を染めないという点において、懲戒処分を下すことが、多くの弁護士の懐に与えないからであると考えられます。

 

また最近では、ベリーベスト法律事務所の非弁提携(本来弁護士業務をしてはいけない非弁護士と提携すること)など、弁護士の職務利権を侵害する行為に、懲戒の判断がされる例があります。これは弁護士の懐に影響を与えるどころか、弁護士業務という弁護士の権益保全にもつながるという意味で、弁護士会の利害と一致する懲戒処分例です。弁護士会は当然ながら、この種の懲戒処分には前向きです。なおアディーレ法律事務所に対する懲戒処分については、同事務所が急成長した新興の事務所であり、同事務所が弁護士会組織において力を持っていなかったことが、懲戒処分を受けた原因だとも言われています。つまり、弁護士会は懲戒制度を弁護士会の組織引き締めにも利用できるのです。

 

懲戒制度という「自治権」を死守したい弁護士会

 

2019年には弁護士に対して95件の懲戒処分が出されましたが、懲戒申請は4299件。弁護士会は懲戒申請案件の審査など、懲戒制度の維持にそれなりにコストをかけているものと考えられます。一方で会員弁護士の間では、弁護士会の会費が高すぎるとの不満の声も聞かれるようです。もし、弁護士会が懲戒制度の運営をやめて、諸外国のように、その運営を裁判所や第三者機関に委ねれば、弁護士会費を減らせるかもしれません。

 

しかし、「弁護士会が懲戒制度を握っていることこそ必要だ」と主張しているのが、他ならぬ、三船美佳氏の代理人を務めていた若旅一夫氏です。元東京弁護士会会長でもある若旅一夫氏は、法曹を志す学生によるインタビューで、「特に関心のある分野は何ですか」と問われ、「弁護士自治に興味があります」と答えています。弁護士自治の柱は懲戒制度です。若旅氏はこのインタビューで、「イギリスでは、2007年に、ソリスター団体であるローソサエティーが自治権を奪われるという出来事がありました。日本の弁護士会も自治権を失うことのないよう、行動していかなければなりません。」と熱っぽく語っています。

 

この若旅一夫氏の、「奪われる」「失う」という表現から、若旅一夫氏が弁護士の都合という“内輪の論理”に基づいて、「弁護士は自治権を失うことのないよう、行動していかなければならない」と述べていることがわかります。インタビュー当時の「東京弁護士会会長」という、弁護士を対外的に代表する立場からすれば、メディアに対しては、公益の視点で語るべきであるはず。しかしこのインタビューでは、公然と弁護士自身への利益誘導発言をしています。インタビュアーが法曹を目指す学生という「内輪」である安心感から気が緩んだのでしょうか。しかし懲戒制度は、弁護士の利益のためにあるわけではありません。

 

弁護士自治の限界を自ら証明した若旅一夫氏

 

若旅一夫氏は、弁護士会が弁護士に対する懲戒権を握り続けることこそが、弁護士にとって利益となることを知っています。どのような利益かといえば、それこそが、一例ではありますが、弁護士が離婚案件で子供の連れ去りを指南したり、相手に子供の面会と引き換えに離婚を強要したりする行為を続け、短期間で離婚の成功報酬を得る案件処理を続けられるという「利益」です。「離婚案件は手間がかかる」と嫌う弁護士もいます。そういう弁護士は、ある意味で誠実な弁護士なのかもしれません。一方で、連れ去りや強要などの荒っぽい手口によって、離婚案件で効率的に利益をあげている悪徳離婚弁護士も多くいるのです。そして、そのような弁護士が弁護士会という組織では力を持っているという現実があります。

 

若旅一夫氏がインタビューで語っていたように、イギリスでもかつては弁護士の懲戒制度は弁護士自治により運営されていました。それが変わったきっかけは、まさに弁護士による弁護士に対する懲戒処分の判断の甘さに対する、世間の不満の高まりだったのです。弁護士会が弁護士の利益のために懲戒制度を運用する限り、弁護士に対する世間の不満は増え続けるでしょう。若旅一夫氏はインタビューで、弁護士の利益の観点から自治権の維持を強く主張していますが、そのこと自体が、弁護士自治には限界があることを示しているのです。

 

若旅一夫氏が本当に自治権を奪われたくないと考えているのであれば、離婚と引き換えに面会交流を認め、それによって収入を得るような、恥ずべき行為は慎むべきです。そしてそのような行為をしてしまったのなら、弁護士を潔く辞して、弁護士が弁護士自身を律することが可能であることを、自ら証明すべきではないでしょうか。

 

現状、悪徳離婚弁護士に対して懲戒請求を行っても、認められる可能性はほとんどありません。しかし、それらの行為に対して懲戒請求を行い、弁護士会が棄却した結果を記録しておくことは、懲戒制度の不備を証明し、将来弁護士会から懲戒権を分離するために、意味のあることだと思います。そして弁護士会が懲戒権を手放すことは、弁護士にとっても、今後も世間から尊敬される存在であり続けるためには、必要なことだと思います。