議決書(前編) −萩谷麻衣子氏の行為への弁護士会の判断−

平成28年東綱第668号

 

議決書

 

懲戒請求者         

 

〒107−0052

東京都港区赤坂6−5−38

ファミールグランスイート赤坂708

萩谷麻衣子法律事務所

被調査人  佐々川 麻衣子

(登録番号24434)

〔職務上の氏名 萩谷 麻衣子〕

 

 当委員会第2部会は,頭書事案について調査を終了したので,審議のうえ,以下のとおり議決する。

 

主文

 

 萩谷麻衣子につき,懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。

 

事実及び理由

 

第1 事案の概要

 本件は,AとBの間の離婚紛争につき,Bの代理人であった萩谷麻衣子が,その事件処理に当たり,Aを脅迫するなど不適切な行為をしたとして懲戒請求がなされた事案である。

 

第2 前提事実

 1 AとBとの紛争

 AとBは,平成19年○○月○○日に婚姻し,二人の間には,長男(平成○○年生まれ)と次男(平成○○年生まれ)の二人の子がある。

 Bは,平成27年○○月頃,二人の子を連れて家を出て,以後AとBは別居状態にある。

 そして,A・B間では,離婚を巡る紛争,子らとの面会交流に関する紛争等が生じた。

2 AとBとの間の裁判手続

 AとBとの間では,現在に至るまでに以下の裁判手続等が行われている。

 なお,離婚訴訟及び面会交流申立事件については、CがAの代理人に就いている(但し,離婚訴訟については,代理人就任は途中から)

(1)夫婦関係調整調停等

 平成27年○○月○○日にBが申し立てたが(東京家庭裁判所平成27年(家イ)第○○○○号),同年○○月○○日,不調により終了した。

(2) 離婚請求訴訟

 平成27年○○月○○日,Bが提訴し(東京家庭裁判所平成27年(家ホ)第○○○号),Aもこれに反訴を提起した(東京家庭裁判所平成28年(家ホ)第○○○○号)。

(3) 面会交流

 平成27年○○月○○日,Aが調停を申し立てたが(東京家庭裁判所平成27年(家イ)第○○○○,○○○○号),不成立により審判に移行し(東京家庭裁判所平成28年(家)第○○○○,○○○○号),平成28年○○月○○日に審判(乙14)がなされた。

(4)子の監護者指定審判・子の引渡審判・子の引渡仮処分

 平成28年○○月,Aが申し立てた。

3 子らとの面会交流を巡る紛争

 A・B間では,別居後もAと子らとの面会交流を実施していた。面会の頻度・程度は,別居当初の平成27年○○月〜○○月は,おおむね週に1回,各8〜9時間程度であったが,平成27年○○月・○○月は,月に2回,各8〜9時間程度であった。

 ところが,その後の平成27年○○月○○日,Aが東京都児童相談センターに対して,「Bが子らを虐待している」 旨の通報をした。これを受けて,Bは,「事実関係の確認もないままに一方的に虐待通報がされるような状況においては,円満な面会交流は実施できない」として,「今後は面会交流のルールを裁判所できちんと決めて実施したい」旨をAに対して伝えた上,面会交流を一事停止した。

 その後平成27年○○月に面会交流は再開され,以後はおおむね月に2回,各4時間程度実施されていた。

 これら面会交流の日程調整は,主にA・萩谷麻衣子間のメールのやりとりで行われていた。

 なお,この面会交流に関しては,上述のとおり,面会交流停止中の平成27年○○月○○日に,Aが面会交流調停を申し立て,後に審判移行して,平成28年○○月○○日,以下の内容を骨子とする審判が出されている(乙14)。

^焚爾里箸り面会交流すること

(ア)頻度                              月に2回

(イ)面会交流時間 土日祝日は7時間程度

                                                 平日は2時間程度    

(ウ)日時・場所・方法等   協議して定メール

∩姐爐量明椶鵬辰─でに3回,1泊ないし2泊の宿泊を伴う面会交流をすること

3惺珊垰等への参加を許容すること

つ甲砲侶搬單渡辰膨樟榲渡辰鬚けることを許容すること

4 萩谷麻衣子に対する損害賠償請求訴訟

 Aは,萩谷麻衣子が後記懲戒請求事由1乃至3の不法行為及びその他の不法行為(BのAに対する暴力及び子の略取行為の教唆や離婚調停事件における虚偽主張等)を行ったことを理由として,東京地方裁判所に損害賠償請求訴訟(東京地方裁判所平成29年(ワ)第○○○○号)を提起したが,平成29年○○月○○日,Aの請求を棄却する判決が下されている(乙15)。

 

第3 A事由の要旨

1 懲戒請求事由1 (電子メールによる脅迫)

 萩谷麻衣子は,Aに対して,「財産分与の条件を呑まなければ子供達と会わせない」と脅迫する旨の電子メールを送付した。即ち,萩谷麻衣子は,Aに対する電子メールで,「面会交流のル−ル作りと財産分与については並行して話したい」(甲1,乙1),「離婚が成立すれば,早ければ9月あるいは10月上旬からスムースに面会交流の実施ができる」(甲2),「早期のお子樣との面談が実施されたら,Aさんはこちらの提示した離婚条件を承諾されるのでしょうか?」(甲3)と述べ,面会交流の開始と引き換えに萩谷麻衣子が示した財産分与の条件を呑むよう繰り返し脅迫した。

 これは,萩谷麻衣子及びBによる親権妨害行為であるだけでなく,Aを脅迫することにより,財産分与において金銭的に有利な条件を引き出そうとした恐喝行為であって,萩谷麻衣子はかかる親権妨害及び恐喝の教唆及び幇助を行ったものであり,非行に該当する。

2 懲戒請求事由2(意見書による脅迫)

 萩谷麻衣子及びBが平成28年○○月○○日付けで東京家庭裁判所へ提出した「調査嘱託及び文書送付嘱託についての意見書2」において,かねてから面会交流時の体調管理のために子供達の健康状態を随時教えて欲しいと求めていたAに対して,Aが文書送付嘱託を申し立てたことを理由に「今後子供達の健康状態をAへ伝えることはできない」と述べた。

 これはAが文書送付嘱託を撤回しなければ,子供達の健康状態を不開示にし,子供達の健康を危険に晒すことをBが宣言した脅迫行為である。萩谷麻衣子は,かかる脅迫の教唆及び幇助を行ったものであり,非行に該当する。

3 懲戒請求事由3(名誉毀損)

 萩谷麻衣子は,Bに対して,「Aの性格は病気だ」と発言し,Aの名誉を毀損した。これは非行に該当する。

 4 懲戒請求事由4(虚偽主張・不注意かつ怠慢な事務処理の繰り返し)

 萩谷麻衣子は,以下の(1)〜(28)に揚げる虚偽主張や不注意かつ怠慢な事務処理を,一般に許容されるケアレスミスのレベルをはるかに超える頻度及び内容において繰り返した。これは非行に該当する。

(1)平成27年○○月○○日付けで提出した夫婦関係調整(離婚)申立書において,「相手方は申立人に対し」と記述すべきところ,間違えて「申立人は相手方に対し」 と記載した。

(2)平成27年○○月○○日の弁論準備手続(離婚訴訟)において,別居日(平成27年○○月○○日)を同年○○月○○日と間違えた。

(3)平成27年○○月○○日午前10時開始の夫婦関係調整調停期日の開始時刻に遅刻した。

(4)夫婦関係調整調停期日において,A提出のローン返済表について,既に裁判所を通じて受領済みであるにもかかわらず,受領したことを失念し,または意図的に「まだ受け取っていない」と虚偽の主張をした。

(5)平成28年○○月○○日にAの代理人から同年3月の面会交流日程に関する調整等に関して電子メールで依頼を受けたが,同年○○月○○日に「メールがなぜか迷惑メールボックスに振り分けられていたためメールを読んでいなかった」という電子メールをAの代理人に送付し,Bと面会交流日の調整等を怠っていたことを認めた。

(6)平成28年○○月○○日にBから同年○○月の面会交流実施候補日を電子メールで受け取っていたにも関わらず,同年○○月○○日に「面倒な会社の破産申立事件を受任し関係者から多数のメールが来るためメールの確認が漏れた」という電子メールをAの代理人に送付し,面会交流実施候補日をAの代理人へ伝達することを怠っていたことを認めた。

(7)平成28年○○月○○日の弁論準備手続(離婚訴訟)において,同年○○月○○日にAの代理人から電子メールで受信していた「婚姻関係財産一覧表」について,受領したことを失念し,または意図的に「まだ受け取っていない」と虚偽の主張をした。

(8)平成28年○○月○○日付けで提出した証拠説明書(離婚訴訟)において,事件番号を間違えた。

(9)平成28年○○月○○日の弁論準備手続(離婚訴訟)において,Bが保有する金融機関口座について「確認する」と発言したが,同年○○月○○日の弁論準備手続においても,Bへの確認を怠っていることを自ら認めた。

(10)AとBの間で係属中の面会交流調停が審判移行になったものと思い込み,平成28年○○月○○日付けで提出した準備書面(離婚訴訟)の中で「審判移行となった」と述べた。

(11)平成28年○○月○○日,Aが調査嘱託及び文書送付嘱託をしていないにもかかわらず,「調査嘱託及び文書送付嘱託についての意見書」と題した,目的不明の書類を東京家庭裁判所家事第○部○○係に対して提出した。

(12)平成28年○○月○○日付けで提出した証拠説明書(離婚訴訟)において,作成年月日を空欄とし,かつ事件番号を間違えた。

(13)平成28年○○月○○日付けで提出した証拠説明書(離婚訴訟)において,事件番号を間違えた。

(14)平成28年○○月○○日付けで提出した準備書面(離婚訴訟)において,「被告が原告に送金した」と記述すべきところを「原告が被告に送金した」 と間違えて記述した。

(15)平成28年○○月○○日付けで提出した証拠説明書(離婚訴訟)において,事件番号を間違えた。

(16)平成28年○○月○○日付けで提出した文書送付嘱託申立書1(離婚訴訟) において,事件番号を間違えた。

(17)平成28年○○月○○日付けで提出した文書送付嘱託申立書2(離婚訴訟)において,事件番号を間違えた。

(18)平成28年○○月○○日付けで提出した文書送付嘱託申立書2(離婚訴訟)において,「3 原告準備書面「第3」 「1」について」と記述すべきところを,「3 原告準備書面「第3」 「2」について」と間違えて記述した。

(19)平成28年○○月○○日付けで提出した面会交流調停の主張書面の証拠書面番号について,「乙1号証の1」,「乙1号証の2」とすべきところ,「甲1号証の1」,「甲1号証の2」と間違えて記述した。

(20)平成28年○○月○○日付けで提出した証拠説明書(離婚訴訟)において,事件番号を間違えた。

(21)平成28年○○月○○日付けで提出した準備書面(離婚訴訟)において,前任の裁判官の名前を間違えた。

(22)平成28年○○月○○日付けで提出した証拠説明書(離婚訴訟)において,事件番号を間違えた。

(23)平成28年○○月○○日に提出した同月○○日付けの陳述書(離婚訴訟)において,資料の添付を忘れた。

(24)平成28年○○月○○日の弁論準備手続(離婚訴訟)に遅刻した。

(25)平成28年○○月○○日午前10時から予定されていた面会交流審判に遅刻し,午前10時4分に書記官室に現れた。そして出席カ−ドに氏名を記入しながら書記官に対して「ごめんなさい,ちょっと打ち合わせをしていたので」 と釈明する様子が見られた。

(26)本懲戒請求手続の平成30年○○月○○日付け準備書面で乙22〜24号証を提出したにもかかわらず,平成30年○○月○○日付け準備書面においても乙22〜23号証を提出したため,異なる証拠について附番が重複している。この証拠の附番に関するミスは,他の無数の萩谷麻衣子の職務上の失態と併せて考慮すれば,改めて萩谷麻衣子が弁護士としての社会的信頼を得るために必要な能力を有していないことを示すものである。

(27)平成30年○○月の面会交流日について,既に○○日と○○日に実施することが決まっていたにもかかわらず,突然,「○○日の面会交流日を○○日に変更したい」との連絡を理由の説明なく,一方的に行った。しかし,Aが○○日は不都合である旨を連絡すると,再び理由の説明なく「やはり○○日にする」との連絡を行った。この面会交流日調整に関する混乱について,AがFAXで説明を求めたにもかかわらず,萩谷麻衣子はこれを無視し,返答してこない。したがって,この日程調整に関する混乱は,萩谷麻衣子の事務ミスによって発生した可能性が高い。

(28)萩谷麻衣子は,面会交流実施日の調整に関して,平成30年○○月○○日までにAに提示すべき平成30年○○月の面会交流日につき,平成30年○○月○○日朝までの段階においてAに提示することを失念した。

5 懲戒請求事由5(証拠説明書不提出)

 萩谷麻衣子は,平成28年○○月○○日午前10時開始の離婚訴訟の準備手続において,証拠として既に提出していた甲30号証(CDR)について,「私は証拠説明書を付けていなかったんですか」と自分自身の行為の有無について裁判官に対して質問を行った。この発言は,萩谷麻衣子が,代理人として行った自分の行為を把握できていないことを示している。

 また,その後,萩谷麻衣子は,同準備手続において,甲30号証に関する証拠説明書の提出を忘れていたことを認めた。

 以上の萩谷麻衣子の行為は,弁護士としての品位だけでなく,社会的常識をも逸脱した行為であり,非行に該当する。

6 懲戒請求事由6(委任状の日付空欄)

 萩谷麻衣子は,代理人として平成27年○○月○○日付けで東京家庭裁判所に提出した婚姻費用分担調停申立書の添付書類のうち,手続代理委任状について,日付を空欄とした(甲8)。

 書類の日付は,当該書類の尤も基本的な記載事項であり,日付の入っていない手続代理委任状が委任状としての要件を満たしているとは言えない。特に当該委任状に基づく調停及び審判や裁判においては,萩谷麻衣子が依頼人に対して計画的な子供の連れ去りや偽装DVを教唆していた可能性があることから,萩谷麻衣子が依頼人から委任された時期等が問題となっているものである。萩谷麻衣子は,自身が子供の連れ去りや偽装DVを教唆した事実を隠蔽するために,意図的に日付の入っていない手続代理委任状を裁判所に提出した可能性が高く,これは裁判所を欺く非行に該当する

7 懲戒請求事由7 (裁判外での威嚇行為)

 萩谷麻衣子は,平成28年○○月○○日午前10時開始の面会交流審判終了後,一旦退廷したが,その後法廷内に戻り,法廷内で同審判の担当書記官と事務的な打ち合わせをしていたAに対して,「さっきあなたは(審判で)聞き捨てならないことを言いましたね」などと言い放ち,Aを威嚇した。

 相手方代理人である萩谷麻衣子が申立人であるAの審判での発言について,審判外で上記威嚇を行うのは極めて異常であり,弁護士としての品位を欠く行為である。

 萩谷麻衣子によるこの発言は,Aを威嚇し,その後の審判におけるAの主張を抑制することが目的であったことは明らかである。審判において相手側の主張に反論があるのであれば,それは審判の開廷中,または審判に提出する主張書面等,審判手続において行われるべきである。萩谷麻衣子が審判手続外において相手側に直接行った行為は,相手側の審判での主張を抑制する目的で行われた点において,裁判の公正性を害するものであり,弁護士として極めて不適切な非行行為である。

8 懲戒請求事由8(書類受領の確認を怠ったこと)

 Aは,平成28年○○月○○日,仮処分申立事件の主張書面等関係書類を萩谷麻衣子の事務所にポスト投函し,その後,萩谷麻衣子に対し電子メールにより書類受領の確認を求めた。しかし,萩谷麻衣子は,意図的にまたは不注意により,電子メールに返信せず放置した。

 萩谷麻衣子は,書類を受領し,受領の確認を求められていたのであるから,書類を受領した旨を伝える責任があったことは明らかである。

 それにもかかわらず,萩谷麻衣子が書類を受領した旨の返信を行ったのは,書類受領から1ヶ月以上が経過した平成28年○○月○○日である。これは,Aが本懲戒請求手続の平成28年○○月○○日付け主張書面3において,本件を指摘した後のことであり,Aが指摘した時点において,書類受領の確認を行っていなかった事実に変わりはない。 これは非行に該当する。

9 懲戒請求事由9 (訴訟準備手続での虚偽答弁)

 萩谷麻衣子は,平成29年○○月○○日15時30分より行われた離婚訴訟の準備手続において,担当裁判官より「(別に行われている子の監護者の指定審判において) 調査官調査が終了しているのに,まだ監護者指定の決定が出ないのはなぜか」との質問に対して,「(決定が出ない理由に関して) 裁判所からいろいろ聞いていることがあるが,(Aが同席している)この場では言えない」 と発言した。

 この発言が事実であれば,萩谷麻衣子が承知し,Aは承知していない何らかの理由により審理が引き延ばされており,審理の公正性が害されている可能性を示すものである。

 しかし,Aが審判事件の担当書記官に確認したところ,「審判の決定が出ない理由について裁判所が萩谷麻衣子とやりとりをした事実はない」とのことであり,萩谷麻衣子の上記答弁は虚偽であることが明らかとなった。これは弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

10 懲戒請求事由10(面会交流妨害)

(1)平成29年○○月の授業参観に関する電子メール無視

 萩谷麻衣子は,平成29年○○月に行われた長男が通う小学校の授業参観の内容をAに通知しなかった。そのため,Aは長男の授業参観に参加できなかった。

 Aは,萩谷麻衣子に対して,授業参観の日時や場所の通知をしなかった理由について,同月8日に電子メールで問い合わせたが,萩谷麻衣子は一切返答せず無視している。また,Aは,子の監護者の指定審判申立事件の準備書面(平成29年○○月○○日付け)でもこのことを指摘したが,萩谷麻衣子からの説明はなかった。

(2) 平成29年度の行事予定表に関する電子メール無視

 Aは,平成29年○○月○○日,萩谷麻衣子に対して,面会交流審判の決定に基づいて,平成29年度の保育園(次男)及び小学校(長男)の行事予定表を送るように電子メールで求めたが,萩谷麻衣子は,一切返答せず,無視を続けている。また,当該行為について,子の監護者の指定審判申立事件の準備書面(平成29年○○月○○日付け)において指摘したにもかかわらず,萩谷麻衣子からの説明はない。

(3)面会交流審判の決定において,BはAを長男の学校行事に参加させるよう義務づけており,さらに萩谷麻衣子は,Aに対し,「面会交流審判決定後も,面会交流に関してBへ直接の連絡はせず,萩谷麻衣子に対して連絡をするように」と求めていることから,萩谷麻衣子は面会交流審判での決定に基づくAからの問い合わせに対して,適切に回答する義務を負っている。それにもかかわらず,当該義務を履行しない上記(1)(2)の萩谷麻衣子の対応は,弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

11 懲戒請求事由11(依頼者への連絡不備)

(1)宿泊面会交流時間の連絡見落とし

平成29年○○月○○日,萩谷麻衣子は,Aから,Aと長男及び次男との宿泊面会交流の日程と時間に関する伝達を電子メールにより受けた(甲11)。しかし,萩谷麻衣子は,当該連絡の存在を見落とし,またはその存在を失念した。
 その後,萩谷麻衣子は,宿泊面会交流直前の同年○○月○○日,既にAが甲第11号証により面会交流時間を回答済みであるにもかかわらず,面会交流時間に関する問い合わせをAに対して再度行った(甲12)。

(2)引渡時間変更の連絡見落とし

 萩谷麻衣子は,Aが平成29年○○月○○日○○時○○分に送信した電子メール(甲13)を見落とした。当該電子メールは,「子供の引渡時間を,18時から19時に変更したい」との内容であった。萩谷麻衣子による当該電子メールの見落としにより,Bに引渡時間変更の連絡が届かなかった。

 そのため,Bは,引渡予定時刻に引渡場所に赴いたが,Aが現れないため,萩谷麻衣子に相談をした。この相談を受けた萩谷麻衣子は,Aからの連絡メールを確認することなく,Bに「警察に未成年者らが誘拐されたと申し出るように」と指示した。そのため,Bは同日18時40分頃,交番に「子供が誘拐された」と申し出たため,警察を巻き込んだ騒ぎを引き起こすこととなった。

(3)萩谷麻衣子は,Aに対して,「Bに直接連絡を取らず,Bに連絡すべき内容は,萩谷麻衣子に連絡するように」と求めており,萩谷麻衣子がAに提示している唯一の連絡手段が電子メールである。Aは,萩谷麻衣子から事務所への休日の電話が萩谷麻衣子の携帯電話に転送されるとの説明を受けていなかったため,休日も萩谷麻衣子への電話連絡が可能であることを知らなかった。したがって,萩谷麻衣子は,Bの代理人として,Aから送信されてきた電子メールを迅速に,かつ漏れや間違いなくBに対して伝える職務上の義務を負っている。また,平成29年○○月○○日の引渡時間変更について,萩谷麻衣子はAが子供達を連れてAの実家に帰省していたことを知っていたのであるから,誘拐通報の前に,少なくとも自らもしくはBに指示して,Aの実家へ連絡の上状況を確認すべきであった。
 しかしながら,萩谷麻衣子はそのような義務を履行せず,特に上記(2)は萩谷麻衣子の連絡ミスにより,警察を巻き込んだ騒ぎを引き起こした点において,その責任は重い。
 加えて,これまでも「メールが迷惑メールに入っていたためメールを読んでいなかった」,「破産事件を受任し関係者から多数のメールが来るためメールの確認が漏れた」などと称し,裁判上の文書のやりとりや,面会交流の調整に関するミスを何度も繰り返している。萩谷麻衣子が繰り返し裁判期日に遅刻していることも含めて,職務に真面目に取り組む気がないことは明らかである。
 以上のような萩谷麻衣子の行為は,弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

12 懲戒請求事由12(面会交流時の未成年者らの体調の不開示)

 Aは,かねてから萩谷麻衣子に対して,面会交流実施時に,直前の子供達の健康状態について開示するよう求めているにもかかわらず,萩谷麻衣子はこれを実施していない。

 平成29年○○月○○日の面会交流において,長男の体調が悪かったにもかかわらず,萩谷麻衣子からは,面会交流前に長男の健康状態に関する連絡は一切なかった。また,この件に関して,Aは萩谷麻衣子に対し,今後の子供達の健康状態の開示方法について明らかにするよう求めたが(甲11),萩谷麻衣子はこれを黙殺しあるいは見落とし,一切回答していない。

 仮に,健康状態を開示しないことが依頼人の強い意向であったとしても,そのような未成年者らの福祉を明らかに害する内容の意向に従うべきでないことは明らかであり,萩谷麻衣子の行為は,未成年者らの健康と福祉に反するもので,弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

13 懲戒請求事由13(審判内容を理解するため必要な法的知識の不足)

 平成28年○○月○○日に下された面会交流審判(乙14)において,「長期休暇(夏期休暇,冬期休暇,及び春期休暇)期間中にそれぞれ1回ずつ,1泊2日ないし2泊3日の宿泊を伴う面会交流を認めなければならない」と定められているにもかかわらず,Bは,平成29年末から平成30年初めの冬期休暇において宿泊面会交流を実施しなかった。これは,Bが,宿泊面会の実施は冬期休暇中でなくても構わないものだと誤解していたことによるものであった(その後に申し立てられた面会交流調停において,B自身が調停委員にその旨釈明した)

 萩谷麻衣子は,面会交流に関して,審判の決定をBに説明し,これを遵守するように促すべき立場にある。しかし,Bの上記釈明は,萩谷麻衣子が審判の決定内容を十分に理解するための法的知識を欠いているか,または審判の決定内容を十分に読んでおらず,Bに対して審判の内容を説明できていないことを示すものである。これは弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

14 懲戒請求事由14(日帰り面会交流の連絡の怠り)

 萩谷麻衣子は,面会交流に関して,Bの代理人として,Aとの間で実施日の調整を行っている。萩谷麻衣子は毎月,前月15日までに翌月の面会交流実施日をAに対して提示する約束をしているが,平成30年○○月○○日までに提示すべき平成30年○○月の面会交流日程について,平成30年○○月○○日朝の段階において,Aに提示することを失念し,または意図的に提示していない。

 これが,萩谷麻衣子による失念であれば,上記懲戒請求事由4で指摘した一般に許容されるレベルを超える多数のケアレスミスの一つである。意図的に行われたものであれば,面会交流実施への妨害行為であり,未成年者らの福祉を損なうものであって,弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

15 懲戒請求事由15 (依頼人に対する侮辱発言)

 萩谷麻衣子は,Bから受任した案件に関して,「今後,飛び込みの仕事はスジが悪いから受けたくない」 などと述べ,依頼人であるBを侮辱する発言を周囲の人間に対して行っている。

 萩谷麻衣子は,離婚調停期日の際,東京家庭裁判所待合室において,離婚に伴う財産分与の話を大声で騒ぎ立てて同室者の奪蹙を買い,心ある当該同室者からの通報によって,萩谷麻衣子がAに関して「病気である」などとBに対して述べ,Aを侮辱していたことが判明している。

 このような依頼人や裁判の相手方を公然と侮辱する行為は,弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

16 懲戒請求事由16(平成30年○○月実施予定の面会交流日時調整連絡の怠り)

 Aは平成30年○○月○○日,萩谷麻衣子の事務所に架電し,審判により定められた子供達との日帰り面会交流及び宿泊面会交流の○○月の候補日について,予め萩谷麻衣子から提示があった範囲で提案し,その諾否については電話または郵便にて回答するよう要請した。なお,萩谷麻衣子側の相次ぐメールトラブルにより,現在Aと萩谷麻衣子との電子メール連絡は不通となっている。

 しかし,平成30年○○月○○日の時点において,萩谷麻衣子から未だ回答がない。萩谷麻衣子は,Aが要請したにもかかわらず,上記日時について依頼人に確認し,Aに回答する作業を怠っている。

17 懲戒請求事由17(平成30年○○月実施予定の面会交流日時調整連絡の怠り)

 Aは,平成30年○○月○○日,萩谷麻衣子の事務所に架電し,担当者に以下の内容を伝えるとともに,同日中に萩谷麻衣子の携帯電話にも架電して,留守番電話に以下の内容を伝えた。

 「平成30年○○月の面会交流実施候補日は○○月○○日までに提示される約束となっているが,まだ提示されていない。 早急に候補日を当方に伝えてほしい。萩谷麻衣子の電子メールはウイルス感染により使用不能になったと聞いており,その後は新しいメールアドレスからのメールも当方には届いていないため,連絡は電話または郵便でお願いしたい」

 しかし,平成30年○○月○○日時点において,萩谷麻衣子からは○○月の面会交流日候補について,依頼人であるBから提案があったかどうかを含め,一切連絡がない。

 萩谷麻衣子はBの代理人として,Aとの間で面会交流日程の調整を円滑に行う職務を負っている。したがって,Aから面会交流日について回答を求められている以上,依頼人から候補日について回答があったのであればその内容を伝え,回答がないのであれば回答がない旨を伝える必要がある。Aの打診から4日間が経過しても何ら対応を取らない状況から,萩谷麻衣子が代理人としての職務を怠っていることは明らかであり,非行に該当する。
 また,萩谷麻衣子は,自分のメールアドレスを予告なく突然変更し,当該メールアドレスから送信した電子メールについて,Aが繰り返し「受け取っていない」 と説明しているにもかかわらず,連絡がAに届いたかどうかの確認作業も怠り,他の手段を使用しようとすらしていない。 面会交流日程調整の電子メールが届いていない以上,電話や郵便など他の手段を使用し,確実に連絡を行う責任が萩谷麻衣子にあることは明らかであるにもかかわらず,このような手段を一切とらず,新規に開設したメールアドレスの使用に理由なく固執し,当面必要な面会交流の調整について自ら行わないのは,職務怠慢行為であり,非行である。

18 懲戒請求事由18 (新たな面会交流妨害行為)

 萩谷麻衣子がBの代理人を務めた面会交流事件の審判において,「Bは,Aが,未成年者らの学校及び保育園の行事に参加することを認めなければならない」と定められた(甲17)。

 しかしながら,萩谷麻衣子は,長男が通う小学校の授業参観への参加を求めたAに対し,「Aは監護者でないから,授業参観へ参加することを拒否する」旨の連絡を行った(甲18)。

 この面会交流拒否は審判に違反し,また非監護者であることを理由に面会交流を拒否することは,法的に完全に誤っている。これは,萩谷麻衣子が面会交流を妨害する意図をもって,虚偽の法知識(非監護者であることを理由に面会交流を拒否できる)をBに説明し,それによって面会交流の実施を妨害したと考えるのが自然である。

 このように,法的に虚偽の説明を依頼者に対して行うことにより,面会交流を妨害する行為は,弁護士の信用を害しその品位を失うべき非行である。

19 懲戒請求事由19 (予納郵券の横領)

 萩谷麻衣子は,A宛ての郵便物にいつも大量の少額切手(1円切手等)を貼付してきている(甲20)。これは,萩谷麻衣子が依頼者に返却すべき予納郵券を横領していることを示すものである。 これは弁護士の信頼を失墜させる非行である。

20 懲戒請求事由20(離婚訴訟における虚偽主張)

 懲戒請求事由4(10)で指摘した,「AとBの間で係属中の面会交流調停が審判移行になったものと思い込み,平成28年○○月○○日付けで提出した裁判準備書面(離婚訴訟)の中で『審判移行となった』と述べた」ことについて,これは単なる勘違いだけから生じたものではなく,萩谷麻衣子が離婚訴訟の裁判官を欺く日的で作為的な虚偽主張を行ったことにより生じたものである。

 即ち,萩谷麻衣子は,「審判官が,面会交流調停期日において,宿泊面会を実施すべきでないとの意見を表明した」旨を主張書面(甲21)で述べているが,このような事実はなく,逆に審判官は「自分は異動になるが,異動後の審判官によって,宿泊面会の実施について,調査官調査を実施するなどして検討したい」と全く反対の意見を述べていた。そして,実際に調停は継続し,その後,年3回の宿泊面会交流を実施すべきとの判断が審判官から下されたのである。したがって,萩谷麻衣子の上記説明は完全な創作に基づく虚言である。

 これは,当時AがBの面会交流への消極的態度を問題視していたことから,萩谷麻衣子は,「Bは面会交流に消極的ではないこと」を示すことを企図し,「審判官も宿泊面会交流は不要との意見を述べているのだから,依頼人が宿泊面会交流を実施しないからと言って,面会交流に消極的であるとは言えない」と,虚偽の事実に基づく反論をして,離婚訴訟の裁判官の判断を誤らせようとしたものであり,裁判所を欺く不適切な行為である。これは非行に該当する。

21 懲戒請求事由21(面会交流に関する連絡の失念・解怠,放置)

 Aは,平成30年○○月○○日に甲23号証のファクシミリを萩谷麻衣子に送付し,面会交流時の連絡方法に関する問い合わせを行った。しかし,平成30年○○月○○日時点において,萩谷麻衣子は一切回答をしていない

 萩谷麻衣子は,依頼者の代理人として,面会交流に関する連絡を自分に対して行うよう求めていることから,甲23号証に対して速やかに回答する責任を負っている。しかし萩谷麻衣子は,失念または懈怠により,その責任を果たしていない。 これは非行に該当する。

 また,Aが平成30年○○月○○日,東京弁護士会市民窓口に架電し苦情を申し入れたところ,萩谷麻衣子は,「答えるべきことは既に答えてある。答えていないことは依頼人との関係があって答えられない。」 と釈明した。これは,Aからの問い合わせを放置したものであり,非行に該当する。

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