「ひとり親思考」から抜けられない厚労省の養育費・面会交流相談支援センター事業

現在は「養育費相談支援センター

ツイッターで、厚労省の「養育費・面会交流相談支援センター事業」の入札公告が行われていると知り、資料を取り寄せてみました。

調達仕様書

入札説明書

評価基準書

養育費について決めずに協議離婚した単独親権を持つ親を、法テラスに送り込むための機関のようです。面会交流の支援は「養育費を支払う意欲につながるもの」なので実施するとのこと。

資料には、面会交流を促進しようという意図も多少感じられますが、子供の福祉の観点から「離婚後の共同養育」をしようといった方向性は、残念ながら見られません。

基本的には、離婚の際に親子を切り離したうえで、「ひとり親」「シングルマザー」を助けてあげるという、旧来の親中心の発想。

「面会交流支援はやりません」と断言する人(しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子氏)のコメントまで、わざわざ調達仕様書に添付されています。

厚労省が子供中心の発想に頭を切り替えて、「離婚後の父母の共同養育を支援する」という方向へ転換する日は、いつ来るのでしょうか。

以下は、調達仕様書からの、面会交流に関する内容の抜粋です。

面会交流については、基本的には子どもの立場からその実施が望ましいことであるが、児童虐待や配偶者からの暴力等により面会交流が適切でない場合があることや養育費相談とは異なる専門性が必要であること等に留意の上、相談に対応すること等により、面会交流の取り決めの促進を図ることとする。

(養育費・面会交流相談支援センター事業調達仕様書 3ページ)

面会交流が子の健やかな育ちを確保する上で有意義であること、養育費を支払う意欲につながるものであることなどから、就業・自立支援センターにおいて、継続的な面会交流の支援を実施する。

(養育費・面会交流相談支援センター事業調達仕様書 4ページ)

【面会交流に関する相談事例及び回答例】

・DVが原因で離婚を考えている。離婚後は一切関わりを持ちたくないが、子どもには面会交流をさせなければならないのか。
(回答例)家庭内での暴力がどのようなものであったか、面会交流の場面でお子さんへの暴力の危険があるかどうか等の事情によって、面会交流を控えるべき場合もあります。また、面会交流を実施する場合にも、どのような方法によるのがよいか検討する必要があるでしょう。お子さんが安心して面会交流を続けられる方法について、当事者間で話合いができないときは、家庭裁判所の調停手続を利用するなどして、双方が納得の上で問題が解決できるよう助言やあっせんを得るのがよいでしょう。

・同居親であるが、離婚後、面会交流を続けてきた。最近、面会日が近づくと子どもが不安定になり、子ども自身が面会を嫌がるようになった。学校からも子どもに落着きがないと言われ、相手に事情を話しても了解してくれない。これからどのようにすればよいか。
(回答例)お子さんの年齢が高くなると、学校生活など子どもの社会関係が広がり、お子さんは面会も大事だけれど、こちらの都合も分かってほしいという気持ちから、面会に消極的になることもあります。相手にお子さんの成長や環境の変化などを具体的に伝えて、面会の在り方、お子さんに抵抗の少ない面会の方法をお考えになられたらどうでしょう。お子さんにも、ご希望を聞かれたらどうでしょう。別居親とはお話が出来るようですから、今一度、別居親と話し合ってみられたらどうですか。話合いが難しいようでしたら、家庭裁判所の調停を利用されたらよいでしょう。

・別居親であるが、同居親から子どもが嫌がっているからと面会を拒否されている。子どもは私と面会している間、楽しく遊んでいるので、拒否することは考えられない。どうすれば面会できるか。
(回答例)父母の緊張関係や不信が強い場合、お子さんが同居親に見せる顔と別居親と遊ぶ時の様子は違うのが普通です。別居親にも会いたい、会っている時間は楽しいけれど、そのことはなかなか同居親には言えないのです。緊張して自分の帰りを待っている同居親には、楽しかったとは言えず、「別に」と不機嫌そうになることが多いかもしれません。そのことを理解した上で、同居親と今一度話し合ってみられたらどうでしょうか。話合いが難しかったり、面会の拒否が続く場合は、家庭裁判所の調停で話合いをされたらいかがでしょうか。

・調停で離婚して、養育費の支払いを続けてきた。面会交流についても取り決めて実施してきたが、最近、同居親が再婚したことをきっかけに、面会を拒否された。これまでどおり面会交流を続けたいが、どのようにすればよいか。
(回答例)同居親が再婚しても、お子さんと面会を続けたいというお気持は自然でしょう。ただ、同居親が再婚した場合、お子さんには新しい人間関係が増え、お子さんは、新しい家族の関係に慣れるのに気を遣いながら生活していますから、これまでより忙しくなるのが普通です。同居親がお子さんとあなたとの面会を拒否されるのは適切とは言えませんが、あなたもお子さんの生活状況の変化を思いやることが大切でしょう。お子さんが無理なく面会交流を続けられる方法を工夫することが大切です。同居親との話合いが円満に行かないようでしたら、家庭裁判所に履行勧告の申出をされる方法もあります。

(養育費・面会交流相談支援センター事業調達仕様書 別紙5)

私どもは面会交流支援はやっていません。土日にはママたちの交流会とかセミナーとかたくさんやっておりますので、私どもは面会交流支援まで手が回らないのです。私たちは就労支援とかママたちの交流会とかをやりながら親を支援して、子どもたちも一緒に楽しく遊んだりすることもやっているわけです。

(養育費・面会交流相談支援センター事業調達仕様書 別添3 しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長 赤石千衣子)

私たちは親子リンクサービスという面会交流の支援を行っていますが、子連れ再婚家族からの依頼が多いのが特徴です。再婚によって養育費や面会交流がなくなるケースも多いと感じます。また、再婚を子どもに伝えるタイミングがすごく難しいと思います。お父さんが子どもにいきなり再婚したんだよ、なんて伝えてしまって子どもが戸惑うことがあります。面会交流のときに自分の再婚相手を子どもに会わせたいという依頼がある場合もあります。さらに、再婚家庭に子どもが生まれた場合、兄弟だから会わせたいと主張するケースもあります。逆に、再婚を隠しているケースもあって、隠したまま養育費を受け取っている人もいます。様々なケースがあって、面会交流の支援は非常に難しいと感じながらやっているのが現状です。

(養育費・面会交流相談支援センター事業調達仕様書 別添3 M-STEP 理事長 新川てるえ)

同居親からは、面会交流は決めなければいけないか、養育費をもらわなければ面会交流を拒否できるか、逆に、別居親からは、面会交流をしなければ養育費を支払わなくてよいか、といった相談が多くみられます。離婚紛争の中で養育費と面会交流が駆引き材料になっている様子が窺え、離婚前相談の大切さを痛感します。

(養育費・面会交流相談支援センター事業調達仕様書 別添3 養育費相談支援センター長 山﨑朋亮)

長年私が立ち会って面会交流を継続してきたケースでは、表面的にはルールどおりに面会交流をしていました。一緒に釣りに行ったり、スポーツをしたりして遊べるようになっていたので、子どもというのは成長すると自分の中でそういう問題を消化して、ちゃんと対応してくれるのだなと安心していたのです。でも実は全く違った。裁判所で決められた面会交流が最後になった日、これから自分たちで面会交流できるのかなと思っていたら、子どもから「面会交流は今日限りです。」と宣言されてしまいました。しかも、私に手紙を1 枚渡して「ありがとうございました。今日で最後にします。」と言ってきたのです。
そういう気持ちでこの何年間か面会交流の場に来てくれていたのかなと思うと、私も胸が痛くなりました。そして、これをどう父親に伝えて、どう理解をしてもらえば良いのかと悩んでいるところです。大きな宿題をもらった気持ちです。

(養育費・面会交流相談支援センター事業調達仕様書 別添3 弁護士 片山登志子)

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