ハンスト続けるフランス人父「暴力を認めるまで子に会わせないと露木肇子弁護士に脅された」

現在、オリンピックスタジアムの屋根が間近に見えるJR千駄ヶ谷駅前で、連れ去られた子供との再会を求めて7月10日からハンストを行っている男性がいます。フランス人のヴィンセント(Vincent, バンサン)氏です。本会では7月14日に、ヴィンセント氏へのインタビューを行いました。以下はその内容です。


ある日突然、子供が連れ去られた

――どのようにしてお子さんと会えなくなったのですか

ヴィンセント氏にインタビューを行ったのは午前9時ごろ。ひっきりなしに友人や支援者が訪れる様子が見られた

ある日、家に戻ると家が空っぽで、子供達も連れ去られていました。2018年8月10日のことです。郵便受けには、配偶者の代理人である露木肇子(つゆき はつこ)弁護士からの手紙が入っていて、そこに「あなたの配偶者はあなたから避難します。お金について話し合いたい」と書かれていました。

夫婦仲はその前から険悪になっていました。子供のことを考えて、弁護士を介さない形の離婚を私から提案していましたが、配偶者は応じていませんでした。

2018年の7月に私達夫婦は2週間、フランスの私の両親の家を訪問していました。日本に帰国後、離婚の仲介を頼んだ私の弁護士から配偶者に連絡してもらいましたが、配偶者はやはり「離婚したくない」と言っていました。そこで、連れ去りが起きたのです。

――話し合いはどうなりましたか

露木肇子弁護士。共著書に『「モラル・ハラスメント」のすべて』(講談社)

露木肇子弁護士は「あなたが配偶者への暴力を認める書面を書いたら、子供をあなたに会わせます。書かなければ、子供には会えません」と言いました。私は暴力なんて振るっていないのに・・・。離婚調停が始まる前に、私にやってもいない暴力を認めさせようと試したんでしょうね。「ヒドイネ」(ここは日本語)。

配偶者は、私から“避難”して、シェルターに行った後も、毎日のように、私がいない時間に子供達を連れて家に戻って、テレビを見たり、洗濯をしたりしていました。その様子は家の防犯カメラに残っています。普通、シェルターに逃げた人は、洗濯するために家に戻ったりはしないと思いませんか。

「説明しなくていいですよ」と言う裁判官

――離婚訴訟はどのように進みましたか

離婚訴訟で「一体いつ、どのように私が暴力を振るったんですか?」と聞いたら、配偶者は家庭裁判所の裁判官に向かって「説明しなくてはいけませんか?」と言いました。すると裁判官は何と、「説明しなくていいですよ」と答えたんですよ。「マジデスカ」(ここも日本語)。

――その後もお子さん達とヴィンセントさんは会えなかったのですか

会えませんでした。私が最後に見た娘の「カエデチャン」の姿は、配偶者がシェルターから子供を連れて家に戻っていた際に、自宅の防犯カメラに映っていた姿です。それも配偶者が、何とカエデチャンを、荷物のように車の後ろのトランクに積んで蓋を閉める様子です。

当時カエデチャンは、まだ産まれて11か月だったのに、8月の暑いなか、カメラで確認できただけで少なくとも7分間、トランクの中に入れられて、車はそのままガレージを出たんですよ。これは児童虐待でしょう。

警察に通報したら、警察は「あなたの配偶者は子供をトランクに入れて何キロ運転したんですか?」と聞きました。「わかりません」と答えました。配偶者はその車を運転してガレージを出たのですが、行き先は知りませんからね。そうしたら警察は「わからないなら、児童虐待ではありませんね」と言ったんです。

――誘拐(連れ去り)について、警察は何と言っていましたか

警察は「親がしたことなら誘拐ではない」と言いました。(※聞き手注釈:この警察の説明は誤りであり、親にも誘拐罪は適用されます(最高裁平成17年12月6日第二小法廷決定))

私(ヴィンセント氏)が「じゃあ、私は子供を連れ戻しに行きますよ。私も親だから同じですよね」と聞いたら、「もしそれを実行したら、あなたを誘拐で逮捕しますよ」と言われました。1回目の誘拐はOKだけど、2回目の誘拐はダメだと警察は言ったんです。「マジデスカ」。

「DV」と言えばすべての力が手に入る

――児童相談所には連絡しましたか

はい。でも、児童相談所の人に防犯カメラの動画を渡そうとしたら「それはいりません」と言われました。その後も私は毎週、児童相談所に電話して子供の安否を尋ねました。4週間目に、児童相談所から「あなたの配偶者は、あなたが暴力を振るったと言っています。だからもう私達はあなたとは話しません」と言われました。

配偶者が児童相談所に訴えたという"暴力"は、事実であるかどうかは別としても、あくまで私と配偶者の間のことでしょう。子供に対する児童虐待と、一体何の関係があるんでしょうか。私は、配偶者が「DV」と言うだけで、すべての力を手に入れたように感じました。「児童虐待をなかったことにしてしまう力」も含めて、すべての力です。

――その後の裁判ではDVも争点になりますね

配偶者は、私からDVを受けたと称する日時や場所、内容などを書いたリストを送ってきました。そのリストによれば、配偶者はフランスでDVを受けたことになっています。2018年の夏に私と休暇でフランスに行ったときに「義父母の家に鍵をかけられて2週間閉じ込められた」と言うのです。

でも配偶者が当時書いていたブログには、配偶者が私の父と一緒に、父の家の庭でシャンパンを飲んだ様子が書かれています。フランスで化粧品などショッピングをした配偶者のカード記録も残っています。その証拠を裁判所に提出しましたよ。さすがに裁判官も「暴力はありませんね」と言いました。配偶者も「暴力を振るわれたと思っていたけど、振るわれていませんでした」と認めました。

面会交流調停は親子を引き離す「トリック」

――"疑惑"が晴れたんですね

はい。でも、もう遅いんです。不思議なことに、日本の法律では、DVをでっちあげていたとしても、子供を監護していたという実績を積むことはできるようです。その間に、日本の裁判所の「継続性の原則」という運用によって、子供を誘拐した親のほうが親権(custody)取得では有利になるのだとか。私の場合、配偶者が子供を誘拐してから、暴力がないと認めるまで1年が経っていましたから、疑惑が晴れても、手遅れなんです。

私は裁判官や配偶者に「子供と会わせてほしい」と頼みましたが、NOと言われました。裁判官は「配偶者は会わせたくないと言っているから、裁判所としては配偶者に子供をあなたに会わせるよう強制できない」と言いました。でもなぜ子供達は、親である私と会えないのでしょうか。

――面会交流調停は申し立てましたか

いいえ。私はまだ離婚をしておらず、親権を持っています。ですから配偶者と同じように子供に会う権利があります。なのに、どうして自分の子供と会うために特別な許可を得なくてはいけないのでしょうか。まだ離婚していない親と子が会うために、面会交流(visitation rights)を申し立てなければならないなんて、stupid(馬鹿げている)です。

もしも私が面会交流調停を申し立てたら、自分で自分が「特別な許可がなければ子供とは会えない立場だ」ということを認めることになります。そうしたら離婚裁判でも、私には親権が与えられないでしょう。

面会交流制度は、親子を引き離すためのトリックだと思います。面会交流を申し立てれば、もしかしたら何回かは親子が会えるのかもしれません。でも、離婚して法的な親権関係がなくなってしまったら、その後も子供達と私が会い続けられる保証はどこにもないのです。


露木肇子弁護士は「脅し」疑惑に「ノーコメント」

インタビューでヴィンセント氏は、配偶者側の代理人である露木肇子弁護士(多摩総合法律事務所・東京弁護士会)から「配偶者への暴力を認めるまで子供には会わせません」と脅されたと語りました。もしもこれが事実であれば、露木肇子氏は誘拐・脅迫という反社会的な違法行為をヴィンセント氏に対して行っていたことになります。

露木肇子氏はこの点に関し、本会記者の電話取材に対して「ノーコメントです」と回答し、ヴィンセント氏への脅迫行為について否定しませんでした。

なお離婚訴訟について露木肇子弁護士は、「ヴィンセント氏の配偶者はまだDVを受けたとの主張は撤回していない」としつつ、「その他の取材には応じられない」と回答しました。言うまでもありませんが、上記のインタビューにおける、夫婦間の出来事に関するヴィンセント氏の主張は、あくまでヴィンセント氏の言い分であることを理解して読んでいただく必要があります。

「親であることを諦めるか、親子が会うのを諦めるか」の二者択一

離婚制度に詳しい人であれば「ヴィンセント氏は子供達と会いたいのなら、なぜ面会交流調停を申し立てないのか」と考える人もいるかもしれません。露木肇子弁護士も取材において、同様の意見を述べていました。しかしヴィンセント氏の「親権を持つ親が、面会交流を申し立てなければ子供に会えないというのはおかしい」というのも、筋の通った考え方です。

本来、離婚前の別居の段階では、子供と別居している親はまだ共同親権を持っていますから、子供と会うだけでなく、一緒に住んで子供を監護・養育もできるはずです。子供と同居している親の承諾を得る必要はありません。しかし残念ながら日本では、離婚前の別居の段階で、まだ共同親権を持つ一方の親の親権を事実上失わせる違法な親権侵害が、法を守るべき立場にある家庭裁判所によって行われています。そのため、子供と別居している共同親権者が子供と会うためには、面会交流を申し立てる以外に選択肢がありません。

しかしヴィンセント氏が言うように、面会交流の申立ては、子供との絆を手放す第一歩であるとも言えます。裁判所から許可を得なければ子供に会えない立場であることを認め、もう親権者ではないということを事実上認めることになるからです。

親権侵害の黙認によって、面会交流の申し立て以外の選択肢が失われた結果、弁護士や行政の担当者ですら「面会交流を申し立てなければ親子が会えないのは当然だ」「定められた面会交流以外に親子が会うことはできない」と勘違いしていることがあります。

子供を取引材料に使って仕事を片付けている公務員や弁護士

そして、家庭裁判所が親に対し「面会交流を申し立てて親権者でないと事実上認めるように」と強いている運用も、ヴィンセント氏が露木肇子氏から言われた「暴力を認めないと子供に会わせない」という言葉と似ている側面があります。それは「言うことを聞かないと子供には会えないよ」という、司法システムが離婚する親たちに突きつけている無言の「脅し」であるとも言えるのです。

離婚手続きとは異なりますが、「暴力を認めないと子供に会わせない」という「脅し」の手法については、昨日、堺市の児童相談所が親に対し行っていたとして関西テレビで報道され、問題となっていたところです。

家庭裁判所の裁判官・調査官も、児童相談所の職員も、そして一部の弁護士達も、まず子供を親から引き離す状況を作ることにより、親子が会うこと「取引材料」として仕事を進めているのが、現在の日本の社会の姿です。そしてその一番の被害者は、それによって親と会えなくなる罪のない子供達です。

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