履行勧告の法的根拠を知らない東京家裁・三谷啓子調査官を動かす方法

「面会交流審判の履行は義務でない」とは?

父母の離婚に伴う親子の面会交流について、ネットには親と子を引き離すような判断をした家裁調査官への不満の声があふれています。私自身は幸い、これまで調停等で家裁の調査官の対応等に大きな問題を感じたことはなかったのですが、それは単に運が良かっただけだったのかもしれないな、と感じる出来事がありました。

先日、審判の決定通りに履行されなかった面会交流について、審判を示し裁判所に履行勧告を申し立てました。しかしこの申立てについて、担当の東京家庭裁判所の三谷啓子調査官は、2020年10月9日、私に対して電話で「面会交流は、権利とか義務とかではないんですよ」などと説明し、履行勧告を行わない意向をほのめかしたのです。

この説明には、大変驚きました。審判で定められた面会交流は、法的には審判の当事者となった親の権利・義務であり、家庭裁判所の履行勧告は、その権利・義務に基づいて行われるものだからです。

家事事件手続法に以下の規定があります。

家事事件手続法第289条

義務を定める第三十九条の規定による審判をした家庭裁判所は、権利者の申出があるときは、その審判で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対し、その義務の履行を勧告することができる

このように、履行勧告は、審判で定められた権利・義務に基づいて行われるものです。もしも三谷啓子調査官が私に説明したように、審判で定められた面会交流が「権利や義務でない」のならば、家庭裁判所は面会交流に関して、一切履行勧告をすることができないということになってしまいます。

「私は調査官ですよ」

電話では、面会交流が法的義務であることを説明しましたが、三谷啓子調査官は「権利や義務ではありません」「私は調査官ですよ」と言うばかりで(そんなことを言われても困る)、取り合ってはくれません。

仕方がないので、履行勧告の法的位置づけ等について説明する書面を、3日後の10月12日に東京家庭裁判所に送りました。するとその翌日、三谷啓子調査官より「おっしゃる通りです。申し訳ございませんでした」という謝罪の電話が直接あり、結果的には当方が申し立てた通りに、相手方の義務不履行について履行勧告が行われました。

三谷啓子調査官が当初、「面会交流は権利や義務ではない」と発言していたのは、三谷調査官が法律の内容をあまり理解していなかったか、あるいは当時は三谷調査官に、法に基づいて職務を行うつもりがなかったかの、どちらかであったようです。

「面会交流は子の利益」という法の趣旨

それにしても、家裁の調査官が、履行勧告の法的根拠という仕事の基本に関わる間違いをするのは不思議です。裁判所の調査官になるには、おそらく試験などがあるのでしょうが、その内容が、法律よりは心理学に近いものだからなのでしょうか。

しかし、純粋に心理学として考えても、子供の気持ちには配慮せず親の都合にばかり配慮し、結果的に家裁調査官が子を親から引き離して、子供への心理的な虐待に加担してしまっているようでは困ります。

そのように考えていると、やはり家庭裁判所には「子供の権利より親の意向を優先しよう」「親の意向に配慮して、履行勧告はなるべく控えよう」「面会交流を権利や義務とは捉えないようにしよう」という組織としての意思や方針があり、それが「公務員として法律に従って仕事をする」という意識を上回っているのではないかと想像してしまいます。

三谷啓子調査官を擁護するわけではないのですが、三谷調査官は、組織の価値観に影響されてしまった面もあったのではないでしょうか。もしそうならば、三谷調査官の間違いは、三谷調査官個人の問題ではないということになります。

2011年の民法改正では、父母の離婚により親子の面会交流を定める際に「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」(民法766条)と定められました。面会交流は、親のためのものではなく、子供のためのものであるというということが、法律でも明確にされたのです。この法改正の趣旨は、履行勧告にも関係するものだと思うのですが、少なくともまだ、家裁の調査官にまでは法改正の趣旨が徹底されていないのかもしれません。

これから家庭裁判所に履行勧告を行う人のなかには、私と同じような目にあう方もいらっしゃるのではないかと思います。そういった方々の参考になればと思い、経緯を記しておくことにしました。

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